分身について その1



 我々はいつも真の身体を夢見ている/偽の身体に曝されながら/想念の内にある/輪郭のにじんだ/決して手の届かない/しかしいつも傍らにあり/ただ寄り添うしかない/すべての虚ろにひそむ豊かさを/やはり掴み損ね/充実や生きがいを埋めこむ装置に/曝される/十字路に立ちどまってみれば/聞こえる/死者たちの声/真の身体を手に入れた者たち/その本を捨てよ/ひとまず見ることをやめよ/感覚を閉じよ/偽の身体で/たった一度だけ/そこにただ立ってみよ