発売当初は取り扱っていないようだったので購入を見送ったまま忘れていたHoodの"Outside Closer"がいつのまにかamazon.co.jpで取り扱いをはじめていたのでとりあえず購入手続きをしながら"Cold House"を聴いていた(amazonは一度予約受付した商品を勝手に取り扱い停止にするので困る。面倒くさかったし是が非でもすぐに手に入れたい商品でもなかったので放っておいたら発売日の二ヵ月後くらいに藪から棒に「発送完了」のメールを送ってくるので面食らう)。Doseのrapがサンプリングされている曲があるというだけで俄然「買い」であるのは当然として(二年近く前某大学の学園祭のイベントに山本精一やらMC L?K?O?やらHairstylisticsやらといっしょにThemselvesが呼ばれていたんだけど、Doseの声質と言葉のスピードとマイクの前で繰り広げられる直立不動のダンスに、その一連の儀式にたちまち魅了されてしまった)、むろんそれだけではなく徐々に拡がりながら空間を散り散りに満たしていく音が心地よい作品で休日の昼下がりにぼんやり聴いているとついつい眠たくなってしまうのだけど、眠り込む寸前にふと耳に聞きおぼえのない断片的なギターのフレーズが飛び込んできて、耳を澄ませるとどうやらところどころに混じっているようなのだけどそのアンサンブルがとても自然で快くわずかにおぼえた訝しさなどあっという間に霧散してしまった……あとでよくよく思い出してみるとおそらくあのギターの音は隣の部屋から漏れてきたもので、昼間に部屋にいると昼食どきをほどよく過ぎたあたりから気ままにギターをつまびく控えめな音色がしばしば届いていた、あからさまに有名なヴィジュアル系バンド(と言われたら憮然としたり帰ったりするような人たち)の曲だったりすることもあって苦笑してしまうのだけど。しかしこの感じはよかったなあと思う、再現不能ながらも。


 音楽の話題ついでに書けば片霧烈火の「やきたてクロワッサン」が折に触れて聴きたくなってもう仕方がない最近は。主に「電波」というひとことで括られがちな感情の発露が怪しく燻りながらせり上がってくる過程がたまらなく癖になって困る。桃井はるこの知性であるとかKOTOKOの狂気であるとか、そういうある種のわかりやすさの獲得とはまた一味ちがう何とも危うげなこの時代のときめきを代表する「歌」「姫」の登場(誕生)に心から拍手を送りたい。