《庭は、自分の方からやってきた》


  以下を晒して戒めとする。部屋のどこかに埋もれていたりすでに畑の肥やしになっていたり梱包されて僻地に再発送されていたりしたものは除く。ラインナップについては特に感想はないがちょっと拍子抜けしてしまったし欠落感がやはり残る。いかにこの人間の価値判断があてにならないかの証明にはなっていよう。今後も証明しつづけるよう随時晒していく所存である。

真・雑音伝説~ロード・オブ・ザ・ノイズ~~非常階段結成25周年記念 禁断のベスト・アルバム&DVD~非常階段
  とりあえずはDVD目当て。81年〜03年までのライヴ映像が4本収められている。81年新宿ロフトでの実録映像がすばらしい。ガー、ピー、キャー。ノイズはもっともやさしい音楽ではないか。生活から生まれ、生活に接続したまま純粋な熱量として人々のあいだに拡散していく。何より癒される。狭苦しいステージでは野郎どもが手持ちの楽器を振りまわしたり布団を切り裂いて綿を掻き出したりゴロゴロじたばたと床を転がったり粉みたいなものを飲んでひたすら吐瀉したりと狂騒に忙しい。きっと手持ち無沙汰だったんだろう。悪いが馬鹿みたいだ。かつて四条河原町の地下で秋田昌美の出すノイズを枕にぼんやりと膝を組んでだらだらと壁に映し出される無意味な自主映画を眺めていた長い夜更けを思い出す。ノイズは身体にいい。だからじっと聴いていたい。最新の03年の映像は会場全体の雰囲気を伝えるものではなくステージだけを袖から撮影した完全なライヴもの。そして相変わらずガー、ピー、キャー。今度はJunkoさんもずっと真ん中でキャーキャー叫んでいるし(81年の映像ではストッキングが……)JOJO氏、三川氏ら誰ひとり欠けることなくまじめにガー、ピーに没入している。もう21世紀なのに!馬鹿そのものだ。そしてもう心底信用できるものはこれくらいしかないような気がする。ベートーベンが生きていればきっと彼もガー、ピー、キャーに加担していただろう。はじめは傾げていた首もやがて傾げた態勢のままそこで固定してしまうのだ。

『living』souleave
  今年は『よつのは』主題歌とか少女病の『CLANN』とかBARBARIAN ON THE GROOVEとか『蒼昊ノ恋歌』とかいろいろと聴いたがこのアルバムがいちばんよい茶太だった。本当によい茶太だったので偶然見つけた下のやつを買ってみた。
『未来のエネルギー』SideProtea
  これもまたちがってよい茶太だった。はじめはYukari freshみたいで「オシャレ音楽!?」と勘違いしてしまったがもっとはるかに腰砕けでどちらかというとDOOPEESのいわゆる「キュート・ミュージック」みたいなコンセプトに近かった。古臭くてチープな未来感とでもいうべき微笑ましさが音や言葉としてアルバム全体に散りばめてある。そして茶太があっけらかんと歌う。か、かわいいじゃないの……。

TencLOUDDEAD
No Music.themselves
  Doseoneは遠くにありて思うもの、ホント思うだけである程度満たされてしまってついつい音源を手に入れるのを忘れてしまうのだけどそれでも藤井郷子とともに常に動向を把握しておきたいひとりであることは変わらないのだった。だからまあいまさらこういうものを買ってひとり興奮していたりする。誰とも共有できない。このうえなく鋭く鷹揚で、ヒップホップでもアンチ・ヒップホップでもない、この音響、とにかく絶対に判断なんてしてやるものかコンチクショウ!来日を見ることができて本当によかった。ありがとう名前は忘れたけど滋賀の芸大の人たち。すべての音楽ファンは絶対にanticonを聴いたほうがいいよ。HipHopは苦手だけどShing02は好きだというひととかが聴かないのは明らかに損をしている。まあたぶんみんなずるいからこっそり聴いているんだとは思うが。

Alarm Will Sound Performs Aphex Twin: AcousticaALARM WILL SOUND
人間解体KRAFTWERK
  ある日マッカートニーの新作を絶対に手に入れようとTOWER RECORDに赴き人波をかきわけやっとたどり着いた目の前にCCCDが積み上げられていたときの感情の損なわれ方は尋常ではなかった。ああ、セキュアCDだっけ?おまけになんか高いし……と妙な節約心がせり上がってきて横に置いてあったデュアルCDなる怪しい形式のスターの新作を買う気も失せて大学の授業でひととおり聴いて満足していた『人間解体』をついつい買ってしまった。安かったし。赤かったし。赤いのはいいことだ。赤いんだから買わずに済ませることはできない。The Poguesとかさ、なんか赤いじゃん。ほんと赤いのはいいよね。

Chaos & Creation in the BackyardPaul Mccartney
  我が家に巣くう山の神の「なんとポールマッカがレディへ、BECKとバンドを組んだんだよ!」という目の覚めるようなすがすがしい思い込みの一言ですべてがはじまった(実際には彼らを手がけたNigel godrichがプロデューサーというだけのことだった。疑問に思いながらもちょっと興奮してしまったじゃないか)。『裏庭の混沌と創造』。買ったのはDVDつきのCapital版だけどジャケがいいので引用はEMI版から。この作品については二日前くらいまでは一曲一曲に対して言いたいことがいろいろとあったが(もちろん基本的にはポジティヴなことばかりだが)いまはちょっとそんな気もなくなってしまった。どうもここまで大物になってしまうとあらかじめ評価してやろう、判断してやろうと身構えられてしまうのが残念だ。しかし驚くべきことに彼はまったく気張ることなく年相応にリラックスしたまま現在的なアルバムを作った。室内的なようでところどころ規格外のスケールが顔をのぞかせ、流しているようで緻密で、凡庸なようで妙にひねくれていて、しかしどこか既視感のあるメロディや音がパズルのごとく織り込まれている。まずは音の響きに身を寄せてみることだ。もう「作品」とか「傑作」とかそういうことではないということがわかる。だからといって思いつき一発というわけでもないし散漫な出来でもない。二曲目の"How kind of you"は"A day in the life of a tree"のような波状的に世界へと接続されていくかのような音作りを彷彿とさせるし、"Too much rain"は直截に"Surf's up"や"Heroes and villians"と重なる部分があるし(おまけに「Smile」と何度も呼びかける歌詞がある)……今回はマッカートニーのソロの中でももっともThe Beach Boys(というかBrian Wilson)を感じる一作だった。ファンに関していえば『Press to play』最高!という奇特なひと(らしいです世間の評価は。知ったことか。ぶっちゃけ最高傑作といってもいいくらいだよ)にはうってつけだと思う。

Choose LoveRingo Starr
  ex-The Beatlesの中では(半分は予想になるが)声もルックスももっとも若い。デュアルCDというのは片面がCD、裏がDVDという胡散臭いというか扱いに気を使う代物なのだけどやはり映像がついていてよかった、リンゴが世界のどこかで元気に音楽をやっているというだけでもうじゅうぶんだ。90年代に入ってからのアルバムの出来の安定ぶりには驚く。

『緑の森で眠ル鳥』志方あきこ 
『VHmusic』新居昭乃

  オフィシャルHPのみで買える3月に終了したラジオ番組のジングル集。とはいえ不足しがちな昭乃分はかなり補給できる。しかし油断して聴いていると……。

Team BooTeam Boo
Genral Patton Vs the X-Ecutioners (Dig)General Patton
Mcdonald & Giles [HDCD]Mcdonald and Giles
『ちいさなうた』eufonius
『LOVE SONG』(麻枝准riya)

Electric HeavylandAcid Mothers Temple
Voice of XtabayYma Sumac
  なんか書きすぎてしまったのでやめる。そもそもそんなに書くこともない。買って何度か聴いて気に入ったにもかかわらずしばらく寝かせることもあるし数年間聴き続けているのに「いい/悪い」以外に特に何も言うことのないものだってある。最後に樋上いたる氏について書きたくなった。彼女に関してはいつ何度賞賛しても足らないのだがなぜいまこの機会を選んだのかというと同僚である麻枝准氏のCDを買ったからではなくゴッホが友人のエミル・ベルナールに宛てた手紙を読んだからだ。その中でゴッホセザンヌのある習作に対して《筆つきが不器用なわけはおそらくミストラルが吹きまくるなかで描いたためだろう》と書いている。ああ、keyやtacticsのオフィスではどれだけ激しいミストラルが吹いていたというのだろうか!常に不安定な足取りを示す樋上氏の筆致の儚さ、脆さは『Moon.』と『ONE』においてほとんど崩壊寸前まで際立っていたわけだが(スタッフの野心と血走った眼差しが手のひらでゴツゴツと感じられるかのような『Moon.』のデモ映像における効果としての樋上氏の筆致は完璧としか言いようがない。唯一無二)『AIR』『CLANNAD』を経る過程でうかうかと手癖として安定しかける寸前でミストラルに身を晒しながらいまだその場所から離れようとはしていない。その限りはどのように絵柄が変わろうとも決して目を離さないでおきたい。