時間がないので手短にメモとして。「ロック幻想というものに参らされてしまっても悪くないかも……」と思った。Great Adventure『ROCKS』を聴いたからだ。「洋楽的」という珍妙なる言いまわしがあるらしい。売り方の指標のようなものだろう。どういうバンドが当てはまるのかは知らない。なにせ26日に何も知らずにレコード屋の邦楽コーナーに足を踏み入れて新譜の数々に圧倒され、その中でGreat Adventureのコーナーがわりと目立つ形で設営されていたことにおどろき思わず駆け寄ってしまい、その人を喰ったようなバンド名とピントの甘いモノクロ写真のポップとアルバム一曲目の音の凝縮と切っ先での解放、ふてぶてしさとほのかに煮え立ついかがわしさ(不吉さ)によって身体のどこかにあったらしいが生まれてこの方その存在すら認識していなかった「ロック幻想スイッチ」なるものが瞬時にONに切り替えられてしまったわけだが、そういういろんな新譜たちとともにこのアルバムも買われていくのだろうか、そんな感じなのかみんな……と無駄に感慨深く売り場を突っ切るくらいなのだから知っているわけがないのだ。アルバムには一曲目のPV映像も収録されていたのだけど逆まわしやちゃちな合成を多用した意味不明のもので興味深く、まさに彼らこそ「洋楽的」という売り出し方の最良のお手本のような存在であると確信したがしかしアルバムの出来はそんな戯言を粉みじんにするくらいの密度と多様性を誇り、的確な音の鳴らし方に知性を感じさせつつもカードの札をまちがえて切って見せるような余裕さえ受け止められた。ところで半年以上前にリニューアルされた1stアルバム『GREAT & FUNKY』はエフェクトの利かせ方や音や声の詰め込み方がちょっとだけKula shaklerという懐かしバンドを髣髴とさせないでもない一瞬があって、別に彼らには何の幻想を抱いていたわけでもないのだが一時期1stアルバムなどを熱心に聴いていたときの感触を思い出し、なるほどねえとひとり納得したりもするのだった。ライヴを見てみたい。幻想なんて一音で吹き飛び、散逸しながらもひそかに育つだろう。

GREAT&FUNKY-Reservoir Edition- 新譜は写真がなかったのでこっちを。