Yoonkee『ASIAN ZOMBIE』を聴きながら五十嵐大介の『はなしっぱなし』を読んでいたらあまりにしっくりきたのかあまりの食い合わせに五感がおどろいたのかもう泣けてきてしょうがない。特に"Asian zombie in inglan"と「ゼンマイ」の取り合わせがやばかった。Yoonkeeは在英の韓国人アーティストで、つまりアルバムのタイトルでもあるasian zombieとは彼自身のことにほかならず、歌詞はというと「月曜日から木曜日までは職を求め、金曜日から日曜日までは希望を求め……」という感じでまあ確かに泣けるわけだけど、妙にこもったヴォーカルがレゲエのリズムに乗っかってインチキくさい東洋風メロディと安っぽくしかしドリーミィな電子音に彩られながら皮膜の向こう側で揺れていてこれがまたおそろしいまでにユルくてときおり混ざる裏声にどうしようもなく泣けて……もうこの男が生まれた国だというだけで韓国が大好きになってしまいそうだ。"Rice with bloody kimchi"(血まみれキムチ飯!)とか"Portable Jesus"とかいう歌もあるが決してキワ物ではないし半笑いの音楽でもない。どれもこれも彼自身のことを歌ったものばかりだ。The homosexualsを彷彿とさせる曲もあったりする。この響応もたまらなく嬉しい。つまりは久々の「全人類必聴盤」というわけ。この前3rdアルバムを買ったんですがこの夏はぜひこのアルバムを流行らせたいね。流行らないならみんな沈んじゃえよいっそ。
ASIAN ZOMBIE