ARCTIC MONKEYSのライヴ音源(ファンが録音したものでおどろくほど演奏がクリアです。トロント、ダブリン、東京ほかセッションやリミックスなどbootleg音源多数。熱心なファンというわけではないのですべて聴いたりはしませんが……)を聴きながら落としつつ赴くままにいくつかの音楽関連のサイトを閲覧していると不覚にもsubtleが新譜を出していることを知りあわてて公式ページへ行くと『wishingbone』というBECKMike Pattonのリミックスと新曲がコンパイルされたCDとSSSRによるアニメーションを収録したDVDのセット発売が告知されていてその中の一曲"F.K.O”の音源と映像が試聴用に置かれていた。曲自体は前作に収録されているのでいいとして(とはいえそのアルバムは聴いていないので全然よくはないのですが。Doseoneは遠くにありて想うものというか想うだけである程度は満たされてしまうし活動の履歴をしつこく辿るのもなんかちがうなあと思ってしまうのだけど聴けば聴いたでいつも裏切られ打ちのめされ悶え昇天してしまうという毎度のゲーム)ビデオがただごとではない。全編モノクロームの映像で、流線型と菌糸類と影の化身のような(造形としては卑近な例を挙げるならば『HUNTER×HUNTER』のレイザーと14人の悪魔)生き物たちが森から現れレミングスのごとく行進しながら都市的、絵画的、寓話的な書き割り空間を横切りくぐり潜り込んでいく。ささやかれつぶやき裏返る声と生楽器と機械音が完全に融け合った曲との相乗効果は凄まじく宗教的愉悦さえ感じてしまう。またもや昇天ということ。AMAZONで調べたらなんと1500円足らずで買える。冗談でしょ?と思うまもなく注文で問題ないでしょう。他を圧倒的に制してBest Music Video賞を獲ってしまったという"Swan meat”も収録されていたりするので映像のみ目当てでも買う価値はあるしいずれにせよ聴いてしまえばその濃密で緊張感溢れる音作りに心酔することは間違いない。中盤の一端フェードアウトすると見せかけつつもギターの弦の音で曲の容貌を変調させながら何の気なしに再開するくだりがたまらないのだった。