寝るのが惜しい。なぜなら音楽は決まって夜寝る前に訪れるからだ。パソコンの電源を落とし、オーディオのタイマーを確かめ、火の元をあらため、場合によっては用を足し、布団の温度を確かめてから消灯する。すでに身体は開かれ、意識との共振にさらされている。音はもう来ている。いま、この音楽を楽譜に……カンバスに……せめて大学ノートの切れ端にでも……しかしすべては手遅れのような気がしてしまう。しかも信じられないことに「明日」はもうまもなくやってくるのだ。「明日」など人生の敵以外の何ものでもない、ということを刻むように反芻しつつ、そして音楽に身体を開きつつ、その「開き」が音楽にほかならぬことを意識しつつもう寝るほかない。パソコンをつけている暇なんてあるか!


 TECHGIAN誌において田中ロミオまさかの新作『おたく☆まっしぐら』についての記事を読んだ。テーマは「全員ビョーキ!!」、そして誌上で小説の不定期連載を開始……まあ当然ながら小説としてどうこう言えるものとして書かれてはいないわけですが、そしてそのことに心から喜びを感じるわけですが、ともかく今回は筒井マインドをリミッター解除でお届けいただけると期待してよいのでしょうか。いや、お届けいただかなくても構わないし依然期待していることには変わりないのですが。中毒者は必読。あと言いそびれていたけどいまのうちにこれだけは言っておかなくてはならない。あずまきよひこノーベル賞を!*1いま現代詩が強烈に意識すべきは『よつばと!』をおいて他にない。思い出して欲しいがよつばはカノコなのだ。仮に巷で言われるオタクなるものが本当に存在し個別に息づいているのならば彼らが占有し育てることなく枯らしてしまった芽はおそらく数限りないしこうしている現在もどこかでまた新たな息吹が潰えていることだろう。だが『よつばと!』には誰にも読まれぬようにひっそりとこう刻んである。《そんなものか、出会いなんて!》

*1:意味不明の「マンガノーベル賞」とかいう代物のことではないです。060505記