某氏に報告も兼ねて

 そういうわけで諦めかけたこともありましたがけっきょく(ワイズマン特集、リヒター展につづいて)三度金沢行き決定と相成りました。映画の極意vol.5<鈴木則文/エンタテインメントの極意>/シアタ−21 Theater21 御大ご本人も来場されるのだからまあ行かないわけにはいかないでしょう、ということで。美術館徒歩十五分の距離にすでに宿も取った。電車の席も確保した。残念なのは同行者たる我が屋根裏に巣くう山の神の都合で土→日しか滞在できず月曜日の『ドカベン』が観られないこと。そして不安要素はその同行者が「実写版『ドカベン』など存在しない」とあくまで言い張る呵責なきフラワー思想の持ち主であること。「川谷拓三=殿馬が足でピアノを弾くんだけど……」と説明をはじめたとたん歯を剥き出し眸を腐らせ「嘘だッ!」→「それは『柔道一直線』だ!」→『ドカベン』の実写版など存在しない!!」と唇から血を滴らせながらおよそ人間とは思えない肩の動きでつかみかかられたおかげで足を滑らせ階段の手すりでしたたか腰を打ってしまった。その拍子にズボンも裂けたし沓裏も剥離した。正解はもちろん「『ドカベン』の実写版は存在する」し、「『柔道一直線』でも近藤正臣が足でピアノを弾く」のだけど、そのときはあまりの傍若無人な論理の破砕ぶりに、また腰の痛みも相まってたちまち色を失い水晶を輝かせついでに記憶も飛ばした。とりあえず本番は『エロ将軍と二十一人の愛妾』(基本。観ているし近所でビデオもレンタルしているのだけどこれを外すわけにはいかない。洗礼。これと『江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間』こそが日本の二大カルト映画といってもいいのではないでしょうか。適当言ってますが。この徹底したくだらなさ、脱力がそのままのあり方で反権力的な混沌のベクトルを一瞬形作りすぐさま霧散する。その美しさ……そして奇形でありヤプーでもありサドであったりもするがやはり乳房露わでしかなく露わの乳房でありよがり豆でしかないありふれた奇跡が寄せ集められた空前絶後の底抜け娯楽大作なのだった)、『シルクハットの大親分』(未見。なんか狂ってそう)、『文学賞殺人事件』(迷ったが時間など考慮して。ビデオ屋によく置いてあるのは知っていたのだけどなぜか未見でした。なんにせよスクリーンで観られるのはいいことだ。『女番長ブルース』のオートバイセックスと胡散臭さ満点の山城新伍もぜひ見ていただきたかったのだが……)の三本、トークは一日目のみの予定でまあ臨機応変に。終わったらまた報告を書かせていただきます。書かないかも知れませんが。