プロペラを止めた、頭取の声を聞くために

 とりあえずFrederic Wisemanについては三本すべて見る強行軍敢行の方向で検討中。『臨死』を外すなんてお話にもならないでしょう、ということで半ば押し切る形で。その前の週の『キングス&クイーン』も見逃すわけにはいかないのでちょっと大変なことになりそうなのだが(金沢ではワイズマンの他にも興味深いラインナップが目白押しだったりする。覆面上映も気になるし。『引き裂かされた尼僧』は観ておいてよかったなあ、今回は素直に諦められる)。『うたわれるもの 散りゆく者への子守歌』の度重なる延期がいまさらながら恨めしい。輝かしき爛熟と腐敗のグランドスラムも夢ではなかったのに!『はるはろ!』発売が3ヶ月間延期だそうで、おそらく三月の決算期がブランドとしてのリミットラインだということなのだろうが、何よりも大事なのは荒川工氏の心身の健康なのだ……と熱心に師事もとい支持する身として過剰な心配というか憂慮がついつい先走ってしまう。Doseoneや荒川氏がこの世のどこかで生きて仕事をしているという些細だが奇跡的な事実は確かに何らかのそして決定的な支えになっているのだ。ハーモニー・コリンの小説『クラックアップ』を捧げたい。決して嫌がらせではなく。

 Виктор Пелевин『Шлем ужаса』が群像社ではなく角川から翻訳・発刊されるそうな(新・世界の神話シリーズ!いつかどでかいことをやってくれると信じていた。いや、まあとっくに「やって」はいたのだろうが)。ペレーヴィン2004年の長編。原書の表紙は迷宮の中央に聳え立つ薄気味悪いミノタウロスのコラージュ……。