私的メモとして

 『電脳コイル』の録画にまたもや失敗して塩加減が上昇の一途をたどりつつあった自分自身に朗報。来月に控える五話一挙再放送だけは録り逃すまいとの固い決意をここに記す。単に忘れないために。いちおう先んじて予約は入れておいたがHDDレコーダーの容量が水際ぎりぎりのなかを逆バイシクル理論にのっとってやり繰りして凌いでいる状況なので油断は許されない。特に『デスパレートな妻たち』が毎週50分ずつ貯まっていくのが何とも痛い……(じゃあさっさと観てしまえばいいのだが気がついたら頭のなかに「杏仁豆腐、杏仁豆腐……」という高らかな朗詠が響きつい椅子のうえで胡座をかいて無意味に回転させてしまうし。軸足から漏れ出る金属の擦れる不快音とわずかな錆に買い換え時を告げられながら。鬼頭莫宏『ぼくらの』に出てくる15人の子供のうちのひとりコダマは小学校時代の友人の松本くんに似ている。ココペリの眼鏡をかけたらもう見分けもつかない。成績優秀で、私立中学を目指し、『ロードス島戦記』を愛読していた。よく連れだって授業を抜け出して誰もいない廊下で堂々と腹ばいになり硬貨をボールに、指を選手の手に見立てた3on3もどき通称コインバスケに興じていた。だがアニメ版ではあまり似ていなかったし見せ場が削られ陰険さと矮小さだけが残った感じだった。きわめて個人的ながらいまのところ数少ない残念な点だ。OPでくるりと45度旋回してこちらを向くキリエが音楽のタイミングと相俟ってなんか印象深い)。

 たまたま引っ越しの片付けに本格的に着手する寸前あたりに遠隔居候の脳細胞二個マンから「ケロロきしめんを垂らしてエヴァ問答やってる」と相当にかいつまんだ情報だけを得ていた『ケロロ軍曹』の第140話「ケロロ ある男の戦いであります」を偶然観てしばらく眠れない夜がつづいた。夜の間だけとはいえ一週間かかりきりで、部屋に敷き詰められた疑似フローリングの肌の覗ける隙間を見つけては大小の段ボールを積み上げて埋めてまわり、崩れてはバランスを考慮して積み直し、ひしゃげては重さを適度に散らすために山のあいだを駆けまわり、昼間は緩慢な運指と穏当に自動化された口舌の応酬をよそに今夜はどこを集中的に攻めようか、どこの状勢が危うそうかと頭を巡らせつづけ、夜には順当にそれを実行しほとんどが計画以上の成果を得たにもかかわらずそれでもCDやらDVDやらゲームやら単行本やら同人誌が次から次へと姿を現しいっそすべて焼却したら楽なんじゃないかとさえ考えてしまうほどだった(それならそれでかまわず生きていけるので尚更実行はしないし実際のところその選択肢がまともに決断の俎上にあげられることなどまずもってないのだけどともかくつねにその影はくすみ、ちらつき、ノイズをまとっている)。そして六畳一間の部屋から新婚夫婦に匹敵する量の荷物が運び出され、全身を丸一日程度の筋肉痛に明け渡すためにそれらを十畳あまりの部屋に運び込み、ほこりを大量に吸ったために顔を出した(というのが適切だろうモグラたたきのモグラのごとくこの忌まわしくも低空飛行の息の長いアレルギーは)鼻炎のせいでくしゃみを頻発し、そのたびにこわばる全身に筋肉痛の走る一日を経て箱の開封作業をはじめ、その間にも運びきれなかった荷物が遅々と部屋に運び込まれ、そして入居から一ヶ月が経とうとする今日に至ってもいまだすべてを開封し終えていない。当初はCDの荷ほどきを国内ポップス他、海外ポップス他、ジャズ全般、クラシック・現代音楽、ゲーム・アニメ・同人の五種にカテゴライズしてそれぞれ山を作りながら枚数をカウントしていたのだけど800枚あたりで数が信用できなくなりやめてしまった。あと100枚足らずで数え終わりそうな気もしたが、ここで引き返さないとパンドラの箱開けちゃいましたでは済まなくなるとも思ったからだった。