『わたしのあきらクン』って漫画があったよね

 小学生のころ忌み嫌いながら繰り返し読み毒づきながらうち捨てつつなお拾い上げて読んでいたんだけど(関係ないが岩館真理子『ふたりの童話』の復刊を心より願う)。というわけで開催二週間くらいまで露とも知らなかったし結局当日まで告知らしい告知を目にすることもなかったんだけどむちゃくちゃ近所でNAMURA ART MEETINGなるイベントをやっていて、高橋悠治やら浅田彰やらダムタイプやらレイ・ハラカミが来ていた(様子)。五月まで住んでいたアパートから徒歩わずか十五分ほどの距離で、イマの部屋からも地下鉄二駅+徒歩数分。「おらが地元に稀人が!お洒落者が次元の隙間からぁ……!」と混乱しながら興奮する地元育ちの脳細胞二個マンを引き連れて「アダルト毎日半額!」と赤いインキで強調されたTYUTAYAや温泉センターや市民プールを横目に埃臭く薄汚い町並みを分け入り名村造船所跡へと向かう。途中チケットを家に忘れて取りに戻ったためダムタイプインスタレーションには間に合わなかったがさほど気にせず、作業中にみんなタバコでも吸いに出掛けて留守にしているかのように放置された様々な機材や具材のくずや船台や掲げられた船底のあいだをぐるぐると巡り、倉庫の奥で夜のパフォーマンスの練習にいそしんでいる箱男集団をのぞき見、真っ白な砂利で埋め尽くされた湾面で最悪によどんだ横ッ風にさらされ胸を悪くしながら工場を利用したgrafプロデュースのカフェへと逃げ込み二色のジェラートを口にして心身にわずかな清涼さが差し込まれたころにはもうイベント開始まで十五分を切っていてその窓から見えるパルティッタと呼ばれる工場を改装した縦長のクラブハウスの前には行列ができようとしていたためあわててその末尾に加わった。例に漏れずその日も暑くて、しかも少々時間が押したせいでしばらく炎天下のなか放置されたため(映像のチェックがどうとか言っていたがそんなもん使ってないじゃん)まさか工場の名残が色濃く残った鉄筋剥き出しの武骨な現代アート空間なのでは……と手薄な空調とパイプ椅子も覚悟したのだが内装はしっかりとイベントスペースに造り替えられていて、巨大な冷房が南北に計八台完備、椅子も四列にびっちり詰めてあったのだけど体重を預ければ背もたれもちょっと傾くというかたわんでくれて二時間程度ならわりと楽にしていられたのだった。


http://www.unit-tokyo.com/schedule/2007/09/08/98_cxp.php 
↑ところでこれってけっこうすごいよね。何を考えているかわからない異様に豪華な謎の組み合わせだ。今後二度とありえないのではないか。行ける人は行ってください。むかし成安造形大の文化祭のライヴに行ったらMOODMANやらMC.L?K?O?やらHAIR STYLISTICSやらTHEMSELVESやら山本精一が時間を区切って次々とステージに上がり、渦巻く雑音のなかメチャ充実した散漫な時間を半醒半睡で過ごしたが頭先の痺れと緊張と引っ込み思案が悪い具合にきわまってDOSE ONE手売りの意味不明のライヴ音源を買うことができず遠巻きに眺めているほかなかった一抹の苦い思いを無関係に思いしつついまものすごく羨ましい気持ちです。