斉藤和義かと思ったらエレファント・カシマシでした

 新刊屋と古本屋を兼ねる大阪天下茶屋駅にある天牛書店を久々にのぞいてみたら今日は一律220円の日だった。個人の関心による選別のフィルターが働いているのかも知れないが、同じ価格帯でも巡ってくる日が異なればラインナップの色合いも若干変わる。妙に柄谷・蓮實系が目立つ日(もう一年近くずっと山田宏一訳のローレン・バコール本が売れ残っていていつも気になる。大きいし、複数あるみたいなので)とか中国文学(莫言多すぎ)、ロシア文化系、朝鮮半島系、大江健三郎は近ごろやたらと多い気がするし、現代詩はわけわからんものも多いがそれなりの数が継続的に散らばっている(田村隆一、野村喜和男、吉増剛三、嶋岡辰、W.H.Auden etc。長田弘多すぎ。Seamus Heaneyと辻征夫は買った)。今回はホロコースト系? で、220円なんてほとんど捨て値だし、たとえよさそうなものがあっても汚くてとても買う気が起こらないだろうということでいつも義務的に表面を視線でざっとなぞってそのまま通り過ぎるのだけど、今日はその段階でいきなり残雪『黄泥街』に当たってしまったので引くに引けなくなってしまった。というかこうなってはもう徹底的に掘り尽くさないと不安で立ち去ることもできない。そういうわけで閉店までのわずか30分足らずのあいだ同じところをぐるぐる巡りながら慎重に山を切り崩したり地層を掘り返したりしていたのだけど結局ベケットくらいしか出てこなかった。で、その二冊とレジの側にあったDVDの980円ワゴンからロバート・アルトマンロング・グッドバイ』を拾い上げ購入。帰りに横目で古本棚を見ていたらけっこうきれいな状態の「東欧の想像力」シリーズが山の裾野からチラリと……掬い上げてみたら案の定ダニロ・キシュじゃないですか。明日まだ売れ残っていたらまあ縁があったということで。が、ともかくいまは『黄泥街』。冒頭から落ち着かない。当然ながらだらだらと読んでいる新しい太陽の書と響応させながら読むことになるだろう。池澤夏樹パパによる世界文学全集の個人的ハイライトのひとつである『暗夜/戦争の悲しみ』の発売まであと……何日なの?


 おもいっきりテレビというものを一分以上まともにみたのはほとんど初めて。しかも夜中に。つまりはわざわざ録画して、ということなのだが、内容のあまりのどうでもよさ、場違い感に時間感覚がすっかり揺さぶられてしまった。いまはおもいっきり「イイ!!」テレビっていうんですね。なんのこっちゃ。水夏希は二時間のあいだ基本的に押し黙ったままずっとにこにこ、くねくね、きらきらしていて、ひたすら妖しかった。おもしろすぎる。あと何回か音月桂に似ている瞬間があったように思うのだが、ひょっとしてAQUA5の面々ってお互いにちょっとずつ似てきはじめちゃっているとか……?いや、水氏の表面に像が乱反射している、ということなのかも知れないが。