じんるいはすいたいしてください

 人類の文明曲線がy軸に対して垂直になってしまう前にとっとと衰退しちゃいましょう。明日からでもほら。ねえ。衰退後の人類、というと藤子・F・不二雄「老年期の終わり」を思い出す。最近では『まなびストレート!』に通奏するひんやりと湿った薄暗さもまたそのような衰退した世界を連想させる(最終話のエピローグで『エヴァンゲリオン』第一話のカットが引用されることで露骨にその印象が強められるのだがその印象が作品内で統一されているとは言い難いのでむしろ要素が集合して化学変化を起こしたかのごとき無意識の産物だろうとは思う。言い方を変えれば受け取り方次第)。しかし同時にそこから立ちのぼってくるのはあくまで牧歌的で郷愁を誘う"When You and I were Young, Maggie"の旋律なのだ。下手に沈潜したり爆ぜたりすることなく現在へと先送りされつづけた未知の郷愁へと身を引き離しながらもなお立ち戻ることを人々に許してくれる。山下毅雄を斬る胸を焦がさずには聴けない山本精一歌唱の「冒険者たちのバラード」なんかもぴったりの雰囲気ですね。このアルバムに入っているからぜひ聴いてください。大友良英はこれ一枚でじゅうぶんでしょう(さすがに嘘ですよ)。

 とりあえず少女主体の紳士テキストが相当に楽しめた田中ロミオ人類は衰退しました』続刊を願い、また応援の気持ちもこめて勢いが空回り気味でお寒い感じが漂わぬでもないガガガ文庫のラインナップをもう何冊か読んでみようかなあ……と思いました。中村九郎は購入済ですが。