2015-01-01から1年間の記事一覧

『帰宅部活動記録』の美しさを語る前に

先日NHKで放映されていた株式会社カラーに所属する若手社員に焦点を当てたとおぼしきドキュメンタリー番組でカメラを向けられていた一人のアニメーターは震えた描線を引くことを欲望していて、原画昇格試験に際してそれを抑圧すべきか押し出していくべきか葛…

『暗殺教室』、(再)発見する/される主人公

群像劇については「グランドホテル方式」と「アンサンブル・プレイ」の二種類がある、というのが漠然とした認識だったのだけど、Web上の簡単な検索結果を遠目にさらう限りではその二つを区分けしない言及例も多く、そもそも語形を見るだけでも前者が様式、後…

『アイドルマスターシンデレラガールズ』のこと(たぶん)

ところでシンデレラにとってのお城というのは漠然としたきらびやかなイメージでしかなく、むしろ関心事はこの生活からの脱却や自己改革の方にある。綺麗なドレスがあるから彼女は家の外に出ることができるし、カボチャの馬車はお城へとつづく階段のふもとま…

もう一文だけ続き

もちろん千葉サドルの筆致が連載を重ねる中でストーリーの展開に伴う生成変化をしていて、それ自体は『がっこうぐらし!』に限らず連載漫画作品にあってはよくあることではあるのだけど、あのときゆきが「美人になった?」と言ったときに含意していたのは「…

『がっこうぐらし!』について、あるいはゆきが美人になるということ

『がっこうぐらし!』第31話、荒廃したコンビニに寄ったくるみとゆき、ひとりで裏を見に行っているあいだにてきぱきと床の掃除をしているゆきの背中を見て、くるみは頭の片隅に置かれていた疑念をおずおずと唇に乗せようとする。「……なぁ」「おまえ」「最近…

『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』についての補記

アクセス記録を見ていると以前からウルトラ・スーパー・デラックスマンという単語の検索によってこのブログに辿り着く例が定期的に観測されるので、ちょっと以前書いたことの補足でもやっておこうという気持ちに今にしてようやくなった。 全集の解説で山田正…

登場人物が作者に直接異議申立てをするということ

『放課後のプレアデス』の話をしているときふっと風が吹きつけた拍子に「でも別にキャラクターは視聴者を楽しませるために生きているわけではないからね」と口にしてしまったのはどこかでうっかり目にしてしまった『放課後のプレアデス』評に対する苛立ちが…

『放課後のプレアデス』と『恐竜』

『放課後のプレアデス』四話を観て思い出していたのは世界一短い小説として有名なアウグスト・モンテロッソ『恐竜』のことだった。ひかるの目が覚めたとき、彼女はまだ宇宙にいて、まだステッキにまたがっていて、まだ夢の中のひとが隣にいて、まだ夢の中の…

『アイドルマスター シンデレラガールズ』13話

『アイドルマスターシンデレラガールズ』OPでいちばん印象的なのは徹底して俯瞰を見せないことで、カメラが仮想空間的な動きを見せようがどれだけカットが切り替わろうが適切な位置で上昇してそのフォーメーションの全貌を見せてくれることはない。アイドル…