2005-01-01から1年間の記事一覧

袖元の枝分かれハンバート&ハンバート

普段考えていることを何も書きたくないんだ、と言うと、それではまるで普段はたいそうなことを考えているかのようではないですか、と言われた。そうではなくてまったく取るに足らないことばかりを脈絡なく考えている、と言うと、つまり普段書いているのと同…

寝る前に限って次々とアイデアの素の素が湧くがもはや起きてそれを形にする気も起きない、かつてずいぶんほんの昔の此間に一度だけ枕元にメモでも置いてみようかと検討してみたのだがとたんに寒気が走り一度も書き込まれなかった前年の手帳もろとも引き裂い…

豊田道倫『東京の恋人』をまた聴く。もう今日だけで三回目だ。いや四回目だった。東京でおぼえているのは複雑に入り組んだ歩道橋をできるだけ遠くに視点をあわせながら何度も何度ものぼりおりしたことであり、やたら大きく様々な人がごった返しているのに薄…

NO入浴

音楽について書かれた文章を読むことは音楽を聴くことではないが音楽について書かれたものから音楽が聞こえてくるような錯覚をおぼえることはあるだろうし音楽について書かれた文章自身がそれを筆者に書かしめたところの音楽が実際に放ち響かせるものとはか…

大事なことを書き忘れた。Great Adventureのアルバムの歌詞掲載部分には《LYRICS written and sung in Something Like English》と書いてある。潔いというかふてぶてしいというか挑発的というか。それでいて1st収録の"GREAT & FUNKY"なんかでは堂々と"Animal…

時間がないので手短にメモとして。「ロック幻想というものに参らされてしまっても悪くないかも……」と思った。Great Adventure『ROCKS』を聴いたからだ。「洋楽的」という珍妙なる言いまわしがあるらしい。売り方の指標のようなものだろう。どういうバンドが…

今回はある程度の羅列に成功

一日ごとに振り返っているとほかに何もできないし一月ごとでもやや面倒くさい、半年ごとだと区切りが弱くいつ着手し手放せばいいのかわからなくなるのでどうしてもその作業は年末にまとめてとりかかねばなるまいしそうすべく自らに課している。そういうわけ…

今日書いた前半

Godardマニアなんて性格が捻じ曲がっているに決まっている、とここ数年仕事場に軟禁状態のネジリン坊は言った。「G……」とわずかに口端にのぼらせただけでたちまち眼窩をへこませ身体中から飛沫をとばす。拒みの身振りだ。最近では"A BOUT DE SOUFFLE"の話さ…

(前回までのあらすじ:ANIMAL COLLECTIVE 『feels』を手動リピートしながら(つまり一回だけ聴こうと思っては感動し興奮しながらまた頭からリピート、を繰り返し)書いていた文章が書き終わった直後の瑣末な操作ミスですべて消えた。寝た。起きた。黒く塗り…

誰に聞かれたわけでもないのにとりあえず目についた近しい肩を片っ端からたたいて「読んだよ!」と言ってまわりたいほどの嬉しさがこみ上げてきてしまった……そしてとりあえずつい最近「短歌に似たどうでもいいなにか」を吐き出してしまった某氏への直接伝え…

近況

★ともかく、ともかく卑しいことに書きたくなってしまう。詩とは声ではなかったか。肉体の内で波打つ声そのものは視ることができないし聴くこともできない。声は濾され、篩われ、間引かれ、そうやって抽象へと昇華されることで言語として、すなわち音声や文字…

《庭は、自分の方からやってきた》 以下を晒して戒めとする。部屋のどこかに埋もれていたりすでに畑の肥やしになっていたり梱包されて僻地に再発送されていたりしたものは除く。ラインナップについては特に感想はないがちょっと拍子抜けしてしまったし欠落感…

夕方ごろあるいは仕事場とも呼ばれうる国道に面した区画の隅っこに据え置いてあるコピー機に手を置いてほんの数秒ほどぼんやりとベージュ色の壁紙に細かく泡立つ「イボイボ」を見るともなしに見ていたらその場には何の匂いが立ち上がる契機もなかったはずな…

食事を終えいつものごとく死にたい気分を抱え込みテレビのブラウン管にへばりついたほこりを「いいかげん拭かなきゃな……」と思いながら眺めていると(そしてちょっと布きれで撫でてみたりしていると)何かがいっせいに崩れ落ちるような音とともににわかに背…

殴り書き

やはり多少無理して行ってよかった、またもや金沢21世紀美術館にて "Gerhard Richter Painting as Mirror"。日本初の本格的な回顧展だと銘打たれているだけあって年代順に代表作(『エマ(階段のヌード)』や『ガラス板』、一連のアブストラクト・ペインティ…

《ゾンビの腋臭は気にならない》 具体的にテクストととしてその機微が描かれていたかどうかは忘れたがロビンソン・クルーソーはずっと半笑いの表情のまま生活していたんじゃないかと思う。不用意な人間が然るべき箇所でさもある確信を伴っているかのように「…

今日の類似(あてずっぽう編)

福居ショウジン『Rubber's Lover』と蔡明亮『河』。試しに三十分くらい観てみて。食事をしながらアニメ『ぺとぺとさん』でも観ようと思って手許のビデオをデッキに入れたらいきなり飴屋法水の横顔が写っておどろいた。数年前に録画してどこかに仕舞いこんだ…

“それもまたいい想い出”に抗って

「どけよ!」と耳の裏側からどやされ右の肩をわずかにねじって背後に視線を送っても誰もいない、それで向き直ってふたたびポケットに両手を突っ込み肩全体にうなじを埋めて前後に屈伸させていると今度ははっきりと足許から耳たぶを立てに刺し貫くように「ど…

鬼の子煮えたもご存知ない

忘れてた、忘れてた!これだけは書き留めておかねばならなかった。"転換期の作法"の前にウィスット・ポンニミット展にも寄っていたのだった!しかもいつのまにかこっちのほうがメインイヴェントになっていた。なぜなら迷路だったからだ。迷路最高。ささやか…

毎度のごとく呪詛と歓喜に彩られた週末もYoko Onoと栗山千明のうるわしくも禍々しい新旧世代のささやかで慎ましやかな揃い踏みによってひとまず多少はましな形で過ぎつつあった(たいした内容ではなくどちらかといえば資生堂について学んだことのほうが多か…

井口昇については目撃したら些細なことでも書き留めずにはいられないし書き留めるだけでじゅうぶんだ。『キレイ』にも出ていたがそのちょこまかと上下する体躯の異様さに感動したしカーテンコールで鈴木蘭々に背中を押されている姿には涙さえ浮かべた。もち…

ハイル! 撫で肩ロマネスク

《まずは自然を描写せよ、その中で克明かつ徹底的に破壊せよ》 久々にどうしようもなく馬鹿なひとに会った。鏡じゃない。喫茶店の隅っこで頬のしわを寄せ合って座り、前後に身体をゆすりながら足を組みかえたり足首を組みなおしたりスティックシュガーでやぐ…

さしあたってうんざりして視聴をやめるには至らないしじゅうぶんな興味を持って見守るつもりではあるものの第三話の後半あたりから『かみちゅ!』*1が(主に言語面において)本格的に鼻についてきたのはなぜなのか……と考えをめぐらしめぐらしきる間もなくHei…

日記

お昼休みにも似た日中の手狭な時間帯にわざわざベンチに座り汗をかきつつ文庫本を開く。と、遠くから猫が近寄ってきて、靴先あたりで少し後ずさりし、大きく旋回してからベンチの脇にある水のみ場の陰に陣取り、おもむろに口を開いた。「時間は実在としてあ…

今日はとにかくこの感動を記したいとだけ思った。一本の映画作品の細部をすべておぼえるのは困難だしそんな集中力も時間も能力もないため普段は決して発想には至らないのだけど井口昇『アトピー刑事』ならわずか10分だ、すでに二回(つづけて)観た。そして…

いま聴いているRUINSの1986-92ベスト盤に入っている"RIPPLES"のイントロの徐々に下がっていくベース音(とヴァイオリン?)が近頃はあまり耳にしないような気がするヤンマーディーゼルのテーマみたいな旋律でつい笑ってしまったのだが郵便局といえば一度だけ…

深夜のアニメ『かみちゅ!』がおもしろかった。本でも美術でも映画でもかまわないけど何かをまさにいま受け取りつつある状況で受け取ることによって生じる抵抗や衝突によって派生的に浮かんできた様々な雑念やかつて中途半端に展開されたまま放置されていた…

狂っている。何がか、というとアニメ『ドラえもん』がだ、いやドラえもんそのひとが、つまりは水田わさびが。絵柄こそ原作に近づけているのかも知れないが作品全体の印象は原作初期とも後期ともちがう、もっと泥臭く、やや一面的でそれゆえときに過剰だ。今…

と思って調べてみたら何かDVD-BOXが出るみたいじゃないですか!海外版DVDなんて誰でも容易に入手できるのでただ観る分にはそれでじゅうぶんなんだけどこれを契機にこの国におけるファスビンダーの不当なまでに低い評価(というかほとんど無視)が多少は払拭さ…

映画なんていますぐ滅びよ

映画を観る環境、なんてあってないようなものだ。そしてないように見えてやっぱりない。ホラー映画はおそらくもっとも純粋な映画の成り損ないだろう、そして映画の呪いはフィルムに焼きついていて、フィルムを介して人々に伝染していく。だがもはやその呪い…