沐浴リンボにて、シュティフター読んで湯治気分

 まあ「そんな気分」なんです、というわけ。七尾旅人(かき集められた数々の無駄、そして声と音と美しい旋律が二枚組にギュウギュウに満たされ、スカスカに散りばめられる。Paul Mccartneyはかつて使い道のない中途半端に出来上がった曲でメドレーを組み上げるのではなくメドレーにするためにわざと中途半端な曲をいくつもこしらえたそうだが、そういう音楽的転倒からさらにもう一転して無駄をかき集め組み上げ間引き足しその集成を「天国の屑」と名付け天から降らせてしまうという……かなり巧妙で勇気のある、しかし蛮勇とはほど遠い叡智)といっしょに買った三枚のディスクがすべてEP(集)だったことに封を開けるまで気がつかなかった。BATTLES、schneider TM、The beta band……中身は三種三様にすばらしく念入りに耳の中に閉じこめ転がしているわけだけど、ディスクを収めるスリーブもまた三種三様の紙製の手触り。海の向こうの紙ものにはほとんどいい思い出がない。ミホミホマコトみたいな過剰包装も面倒だが、それにしても毎度毎度裸のディスクが内ポケットにつっこんであるだけで愛想がなさ過ぎ。それだけなら構わないのでだけど内ポケットとディスクのあいだにはたいていほとんど隙間がなくて出し入れの際には傷がつきやしないか異様に気をつかうのだが気をつかっていてはいつまでたっても収めることができないし下手したらスリーブが破けてしまうのでもう目をつむって無理やりねじ込んでしまうしかない。だからよく聞くものは他のプラケースに移し替えておくのがよいのだけどジャケットを切り離すわけにもいかないので余計な場所を取ることになるしいざ聴きたいときにどこにしまい込んだか忘れてしまうこと必至なのでなるべく避けたい(すでに手遅れですが)。で、schneider TMは普通のデジパック、Battlesは例のごとくの内ポケットに裸ディスク(しかも二枚組で、幸か不幸かサイズに余裕があるため両側から飛び出してくる)なのだけど……The beta bandは一見ただのデジパックながらジャケットの部分がポケットになっていて、むろん通常のデジパックだってそこにはライナーやらアートワークやらが入っているわけなのだが、なんと上部がパックリ開いていてそこから簡単に取り出せるようになっているのだ。すごく取り出しやすい。みんなこうすればいいじゃん!以上です。